こんにちは
走るエンジニアです。
新型コロナウィルスが猛威をふるいだして約1年。
世の中は、この見えない小さなウィルスによって大きく変化しました。
例を挙げるとすれば、アルコール消毒。
今では店の入り口には当たり前のようにアルコール消毒のボトルが置いてあり、お客さんは当然のように手を消毒してから店に入ります。
今では当たり前の風景ですが、1年以上前には全く見られなかった風景です。
また、手の消毒だけでなく、アルコールで濡らしたウエスで人の手が触れるドアノブやスイッチなどの消毒作業も多くの店舗、会社、家庭でしている消毒作業です。
これらの消毒作業も1年以上前には全く無かった作業です。
このような急な変化に対しては、今まで想定しなかったリスクが少し時間が経ってから顕在化してきます。
今回の記事は、アルコール消毒が定常化したことによって新たに起こるであろうリスクについて紹介したいと思います。
リスクを知ることで、少しでもリスクから回避して頂けたら嬉しいです。
<目次>
アルコールによるコロナウィルスの消毒原理
リスクを述べる前に、そもそもアルコールによる新型コロナウィルスの消毒原理を説明します。
新型コロナウィルスは最外殻部が脂肪酸(脂)に覆われており、内部のRNAと呼ばれるたんぱく質を保護しています。
アルコールはコロナウィルスを守っている脂肪酸を溶かす作用があるので、消毒に即効性がある極めて有効な消毒です。
アルコール100%が最も消毒効果が高いのですが、アルコール100%だとすぐに蒸発してしまうので実用性に欠けます。
そこで、市販されているアルコール消毒液は蒸発し難くするために、アルコールに水を加えて少し濃度を薄めて蒸発し難くしています。
比率はアルコール70%に対して水が30%のものが多いですね。
そう、消毒に使っているアルコールは、水とアルコールの混合液なのです。
また、アルコール以外の消毒薬としてよく目にするものは、「次亜塩素酸水」、「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」ですが、これらの消毒液は、アルコールのように新型コロナウィルスを保護している脂肪酸を溶かす作用はありません。
そこで、ゴシゴシとウエスなどでウィルスに物理的な攻撃を加えて脂肪酸に傷をつける必要があります。
脂肪酸に傷がついて、その傷から消毒液が内部に侵入して初めて消毒効果が得られるのです。
したがって、次亜塩素酸類の消毒はゴシゴシが必須なので、効率が悪く、消毒効果にばらつきがあります。
アルコール消毒によるリスク
①人に対するリスク
蒸発したアルコールの気体はとても燃えやすい性質があります。
手をアルコール消毒した直後は、この燃えやすいアルコールの気体が手の周りに漂っています。
このような状態のときに、火気があるものを触ると、アルコールに着火して手が火に包まれてしまい、大やけどをしてしまいます。
アルコール消毒した直後に喫煙や手持ちの花火などに触れないように注意してください。
<出展>NITEによるアルコール消毒による花火の事故映像
②モノに対するリスク
プラスチックが脆くなったり変色したりするリスク
濃度の高いアルコールはプラスチックを脆くしたり、変色したりする場合があります。
プラスチックの種類や製造方法によって、プラスチックのアルコールへの耐性は変わりますが、
プラスチックで作られた機器や建具をアルコールで消毒する場合は、プラスチックが脆くなったり変色するリスクがあることを知っておいてください。
例をあげると、
透明なプラスチックは一般的にアルコールなどの薬剤に弱い熱可塑性樹脂の非晶性樹脂が多いです。
リモコンの液晶カバーなど透明なプラスチックをアルコールで消毒する際は変色(表面に小さな割れができて白くなる)など注意してください。
メーカにしてみても、新型コロナウィルスの蔓延により、頻繁にアルコールで消毒するような使われ方になるとは全く想定していなかったでしょうから、アルコールに強い製品設計は出来なかったと思います。
モノをアルコールで消毒する際には、もしかしたら壊れるかも?と思って様子を見ながら作業することをお勧めします。
電気部品が故障するリスク
アルコール消毒液はアルコールだけでなく水を含んでいます。
水は電気を通しますので、電気部品に消毒液が付着した場合、異常な箇所に通電されるため電気部品が壊れたり、最悪の場合は発火する危険性があります。
例えばTVのリモコンの中には電気が通る基板という部品が入っています。
リモコンを消毒する際に、アルコール消毒液でビショビショにするとリモコンの中にある基板にまで消毒液がしみ込み、故障の原因になります。
電気機器の操作部などをアルコールで消毒する場合には、アルコール消毒液は電気を通す液体であることを認識して、ビショビショにならないように液量に注意しましょう。
まとめ(アルコール消毒する際の注意点)
- 手をアルコール消毒した直後には火気には触れないように!(手が燃えて火傷のリスク)
- プラスチックをアルコール消毒する場合は、プラスチックが脆くなったり変色するかも?(壊したり変色させるリスク)
- 電気製品をアルコール消毒する場合は、液量は控えめに!(通電部品が壊れたり、発火するリスク)
ではでは